卒業生メッセージ

Vol.2

川内 由加里 さん

職業
フリーランス ニュースライター。NHKの放送現場で活躍中。
受講歴
「日→英ニュースライターI・II」を履修。仮卒業の後、現場でのOJTを経て2010年に卒業。(※現在は、コースの構成や講座の名称が異なっています。)
受講した
きっかけ
元々、ニュースに興味を持っていました。私は、特別な専門分野を持っていませんでしたので、ニュースの仕事を通じ、いろいろな分野にわたることを、広く深く勉強したいと考えていました。

国際研修室を選んだ理由、国際研修室で学んでよかったと思うことを教えてください。

国際研修室にはOJT制度があり、仮卒業すると現場で仕事をしながら勉強できること、そして卒業すると仕事を紹介していただけることから、この学校を選びました。また、ニュースライティングの勉強ができるのは、ここだけでした。

授業では、プロのニュースライターが実際に現場で書くような課題が与えられるので、本当に仕事ができるようになる講座でした。現場に出た時はもちろん大変緊張しましたが、授業でも現場でもやっていることの基本は同じですので、現場に出てから大きく不安を感じるようなことはありませんでした。

ご自身で徹底的にやってきた勉強法や、おすすめの勉強法があれば、教えてください。

返却された添削原稿を、先生方のコメントをもとに書き直し、復習をしました。表現だけでなく、全体の構成をすっかり変えて書き直したものもあります。また、耳で聞いて分かりやすいかどうかを確認するために、ネイティブスピーカーの前で、原稿を読み上げて聞いてもらいました。これは今でも続けています。海外の英語ニュースのリスニングや雑誌の時事問題のリーディングも欠かせません。BBCをよく聞いて話の展開などを参考にしています。

現在、どのような仕事をされていますか。

NHKの英語センターで、汎用原稿を書く仕事をしています。汎用原稿というのは、国際放送の「NHKワールド」や「ラジオ日本」で放送される英語ニュース、 インターネットニュース、それに英語以外の外国語のニュース用に訳す時の元になる原稿のことで、いろいろな放送の源になります。平均して週4日ほど、 ニュースライティングのシフトに入ります。一度シフトに入ると、 大体5~6時間くらい作業をします。シフトは、朝から夜まで8人くらいで組まれていて、少しずつ時間をずらしながら交替していくのですが、私は夕方の5時半から10時半くらいまで入ることが多いです。大変ではありますが、興味深い仕事であり、やりがいを感じています。

国際研修室で学んだことが、直接仕事に役立っていると実感したことはありますか。

英語ニュースを構成する際の基本的な考え方を、毎回の授業を通してずっと教えていただきました。英語のニュースライティングでは、日本語原稿をそのまま翻訳するわけではなく、時には省略や補足も加えながら、英語ニュースとして再構成してから書かなければなりません。日本語原稿の中で、最新の情報は何かということを常に意識しなければなりません。それが非常に難しいのですが、ポイントを誤ると的外れな原稿になってしまいます。この基本的な考え方の大切さは、実 際に仕事をするうえでも変わりません。

英語ニュースを構成する際の基本的な考え方について、もう少し詳しく教えてください。

日本語ニュースと英語ニュースとでは、話の展開の仕方がまったく異なります。日本語では、途中で同じことを繰り返すことが多いですが、英語では、基本的に同じ情報は繰り返しません。また、日本語では今までの経緯の説明が冒頭に来ますが、そういった背景のようなものは、英語ではなるべく後ろに回し、一番新しい情報をどんどん前に出します。ですので、日本語の原稿の構成どおりにべったり訳すのではなく、英語としてスーッと耳に入るような構成に組み立て直さなけれ ばなりません。私は、どうしても前の方に説明がくる原稿を書いてしまいがちだったので、その点をよく注意されました。これを先に伝えないと、後の内容が通じないのではないかと思うこともありましたが、英語では、途中でちらっと匂わせておいて、後からしっかり説明するようなこともあります。

学習成果がうまく現れずに落ち込んでしまったときなど、どのように乗り越えてきましたか。

国際研修室の受講生の時は、ニュースライターになる適性も努力も足りないのではないかと感じ、他の仕事を探そうと思ったこともありました。あまり前向きに乗り越えたとは言えないかもしれませんが、研修室のスタッフにはいつも激励していただき、仮卒業、卒業まで進むことができました。クラスメイトと帰りにお茶を飲んだりすることもありました。皆さん、真剣にこの仕事につきたいという方ばかりだったので、一緒に悩みや苦労を語り合うこともありました。

ニュースライターを目指している方に、アドバイスをお願いします。

やはりニュース自体をよく知ることです。また、現場であろうと教室内であろうと、ニュースは翌日になれば必ず続報が入り、どんどん発展していきます。ですので、ある事象が起きたら、ずっとそれを追い続けることが重要です。これは、いつも心がけていなければなりません。ただ、あまりにもそればかりでは大変になってしまうので、中にはあえてニュースを追いかけない日を持つようにしている方もいるようです。私の場合は逆に、ニュースに置いていかれないように気をつけています。また、一人で勉強していると限界があるので、誰かに見てもらったり、聞いてもらったりすることができると、それはとても大きな支えになると 思います。

多忙な毎日の中で、何か楽しみにしていることはありますか。

最近は忙しくてなかなか時間が取れないのですが、なるべくスポーツジムへ行くようにしています。地味に筋トレをしたり走ったりしています。体力の維持が必要 な仕事ですので。また将来的にですが、日本のことを紹介するようなことをやってみたいと思っています。日本の文献で、まだ海外に紹介されていないものを、 ぜひ紹介することができればと思っています。